Top
> メルマガ:『価値づくり』の研究開発マネジメント

 

『価値づくり』の研究開発マネジメント 第375回

普通の組織をイノベーティブにする処方箋(222): KETICモデル- C:Curiosity(好奇心)(12)
好奇心は何によって生まれるのか(12)

(2026年3月2日)

 

セミナー情報

 

現在「好奇心は何によって生まれるのか?」の議論をしています。その中で「正の予測誤差を生み出す工夫」の議論をしています。今回は「正の予測誤差を生み出す工夫(その6):当初の目標が達成できなくてもリフレーミングする」を考えてみたいと思います。

●正の予測誤差を生み出す工夫(その6):当初の目標が達成できなくてもリフレーミングする

 〇イソップ童話の「酸っぱい葡萄」の意味皆さんもご存知と思いますが、イソップ童話に「酸っぱい葡萄」があります。きつねが木の上になっている美味しそうな葡萄を見つけます。そこで、何度も葡萄をとろうとジャンプしますが、とることができません。最後には諦めて、「あの葡萄は酸っぱいに決まっている!」と負け惜しみを言って去っていくというものです。この童話は、負け惜しみはしてはいけないという、やってはいけないことを伝えることを目的としています。

しかし、心理学にリフレーミングという概念があり、この概念は仮にネガティブな結果でも、ポジティブに捉え直すことが大事であるというものです。このイソップ童話は良く考えてみると、きつねは一所懸命努力した結果、残念ながら取ることができなかった葡萄を酸っぱいとリフレーミングしているのです。

〇リフレーミングにより、「事後に」も実際の達成値を上げ、当初の期待値を下げる(書き換える)
正の予測誤差を生み出すには(正の予測誤差を生み出すことが、なぜ好奇心を生み出す上で重要なのかは、第367回をご覧ください);

実際の達成値-期待値=予測誤差ですので、

実際の達成値を上げる、もしくは当初の期待値を下げるという方法が考えられます。ここで問題なのは、既に行動を行ってしまった場合、実際の達成値や当初の期待値を変えることができるのかということです。そこに登場するのがこのリフレーミングです。このイソップ童話の例では、以下のようにリフレーミングすることで、正の予測誤差を生み出すことができます。

(実際の達成値を上げる)

きつねは何度もジャンプすることで;
‐足が鍛えられた
‐身体が温ったまった
‐交感神経を高めることができた
‐結果はどうあれチャレンジした満足を得られた
‐こういう所になっている葡萄はとりにくいと学習ができた、と考える。

(当初の期待値を下げる)
とれなかった葡萄を酸っぱかったと考える

このように「事後であっても」、その結果をリフレーミングし正の予測誤差を意図的に生み出すことができます。その結果、また木の上の葡萄を見つけたら、同じようにそれを取ろうとジャンプをし、それを続けていればいつかは美味しい葡萄を手に入れることができます。

〇実際にやってみると、当初想定していなかった成果が得られる
ここで重要な点が、実際にやってみさえすれば、当初想定していなかった成果が得られるということです。もちろん、その成果は良いこともあれば悪いこともあります。しかしそこで、悪いことは受け流し(たとえばきつねがジャンプをして骨折するなど、どうしても受け流せないことも起こるかもしれませんが、確率としてそれ程高くはありません)、良いことに焦点をあてて考える姿勢を持てば、必ずポジティブな成果が得られます。そこで得られた良いことは、やってみるまで得ることができなかったことであり、やるメリットがあるのです。

(浪江一公)