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『価値づくり』の研究開発マネジメント 第371回

普通の組織をイノベーティブにする処方箋(218): KETICモデル- C:Curiosity(好奇心)(8)
好奇心は何によって生まれるのか(8)

(2025年12月22日)

 

セミナー情報

 

現在「好奇心は何によって生まれるのか?」の議論をしています。その中で前回まで2回にわたり、「正の予測誤差を生み出す工夫(その1):これからする行動に対し低い期待値をもつ目標を複数、束で設定する」を議論しました。今回は「正の予測誤差を生み出す工夫(その2):高い期待値を持つ目標を分割して設定する」を考えてみたいと思います。

●正の予測誤差を生み出す工夫(その2):高い期待値を持つ目標を分割して設定する

仕事において、達成が難しい高い目標を小さく分割し、取り組みやすくする方法があります。この方法は、正の予測誤差を生み出す工夫としても使えます。高い期待値を持つ大目標を小目標に分割し、「第1ステップ:最初の動機付け」で、ワクワク感を高めるということです。

〇第1ステップ:最初の動機付け
分割後のそれぞれの小目標においては、期待値は(低)となりますので;

期待値(低)(×達成確率(高))=ワクワク感(低)

となり、ワクワク感が高まらない懸念を感じるかもしれませんが、大目標総体としては;

Σ(期待値(低)×達成確率(高))=総体としての期待値(高)×達成確率(高)=ワクワク感(高)

となり、複数の小目標の成果を重ねることで、大目標において高い期待値を達成する可能性が高まりますので、高いワクワク感を持って取り組むことが可能となります。

〇第2ステップ:学習(正の予測誤差を生み出す)
そして第2ステップでは、小目標ではもともと期待値が(低)ですので、実際の達成値は(高)になる可能性は高く;

小目標では;
実際の達成値(高)-期待値(低)=予測誤差(正)

となり、大目標では;
Σ(実際の達成値(高)-期待値(低))=Σ予測誤差(正)=総体として予測誤差(正)

と、することができます。

〇注意点
ここで注意したいのが、小目標単位で、期待値(低)×達成確率(高)である「目の前」の(小)目標やそのための行動ばかりに目が向くようになると、上で議論したようにワクワク感(低)となり、第1ステップでドーパミンが出なくなりまる。その結果、モチベーションが生まれず、熱意を持って取り組めないという状況になる可能性があります。ですので、小目標に向けての行動中にも、元の分割前の最終目標である大目標(ワクワク感(高))を常に意識することが重要となります。

〇前回議論した「(その1):「これからする行動に対し低い期待値をもつ目標を複数、束で設定する」との違いこの(その2)の議論は、以前に議論した(その1)と大変似ています。しかし(その2)と(その1)とは、重要な点において異なります、それは;

(その2):一つの(大)目標 → 複数の(小)目標に「分割」
• 元の目標は一つ
• それを細分化し、複数の小目標に
• 結果として 複数の行動 を行うことになる

(その1):一つの行動 → 複数の目標を「束で設定」
• 行う行動は一つ• その行動に対して複数の異なる目標を束で設定する
• それら目標は(その2)と異なり、相互の関連性は必ずしも必要ない

これらを明確に分けて、積極的に併用しましょう。

(浪江一公)