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『価値づくり』の研究開発マネジメント 第297回

普通の組織をイノベーティブにする処方箋(144): KETICモデル-思考(86)
「発想のフレームワーク(29):失敗のコストのマネジメント(8) 同じ失敗を繰り返しても良いと考える」

(2023年1月10日)

 

セミナー情報

 

「めんどくささを払拭する方法」について第293回(2022年11月14日)のメルマガの中で、5つ、すなわち、〇仕事を細かく分割する、〇隣接可能性の効果を信じる、〇第一歩を踏み出したことを自分自身でほめる、〇時間を掛けても良いと考える、〇行動を重視する習慣・カルチャーを作る、をあげましたが、今回は最後の「行動を重視する習慣・カルチャーを作る」を議論したいと思います。

●行動を重視する習慣・カルチャーを作る
「行動を重視する習慣・カルチャーを作る」ことは、これだけを単独で考えると、まさに「言うに易し、行う(行動)は難し」に聞こえるかもしれません。しかし、これまで議論をしてきた「めんどくささを払拭する方法」の4つを日々実行することで、そのような習慣・カルチャーが醸成されていくということです。つまり「(4つの日々実行による)行動」→「刺激」→「新な行動をしたいという欲求」→「(次の)行動」→・・・という定常的なサイクルをまわし、徐々に個人では習慣、組織ではカルチャーとして、「行動を重視する習慣・カルチャーを作る」ことができます。

●ネガティブな「刺激」にどう対処するか?
しかし、次の新な行動をしたいという欲求に結び付くのですが、現実には次の行動を躊躇させるネガティブな「刺激」も現実には多くあります。このネガティブな刺激は、このサイクルを停滞させます。

そのため、このようネガティブな刺激をポジティブなものに転化する、もしくは少なくとも中立化させる方法が必要となります。

●失敗(ネガティブな刺激と認識すること)から学ぶことは極めて重要ではあるが...
ネガティブな刺激とは、行った行動を「失敗」と認識してしまうことと言えます。そこで、失敗をポジティブなものと認識するようにすること、すなわち失敗から有益な学びを得ることが必要となってきます。失敗から学ぶ重要性は、トーマス・エジソンを初め古今東西の様々な賢人も謳っているところです。

しかし、失敗から学ぶ姿勢としてよく言われることとして、失敗の原因を突き詰め、分析を行い二度と同じ失敗を繰り返さないようにするということがありますが、そのような姿勢をとるには、時間とエネルギーが必要です。日々ある意味大小様々な失敗を経験している中で、現実にはその全てに対し原因の特定と対処は難しいもので、他人から「何度同じ失敗を繰り返すのか?」と叱責・非難されても、うっかり同じ失敗を何度もしてしまうということは、時にはあることではないかと思います。

●同じ失敗を繰り返しても良いと考え、むしろ同じ失敗を数多く繰り返してしまうことを受け入れる
同じ失敗を繰り返すのは、自分にとってその失敗の強度が低く、気持ちの上で失敗の原因を探しその原因を払拭するための活動のスイッチが入っていないからです。そのため、むしろスイッチが入っていなければ、そのスイッチを入れるために、奇妙に聞こえるかもしれませんが、積極的に何度もその失敗を繰り返し(もちろん同じ失敗は繰り返さない方が良いのは言うまでもありませんが)、矯正すべき重要な失敗であると認識するプロセス自体も大事であると思います。つまり、積極的に「失敗」をすることを許容するだけでなく、積極的に「同じ失敗を繰り返す」ことも許容するということです。

●同じ失敗を繰り返してしまったことに意気消沈せず、前に進む「活動」を重視する
そのため、同じ失敗を繰り返してしまったことに意気消沈せず、「同じ失敗をしてしまった」というネガティブな刺激を、ネガティブなものと捉えないということです。その失敗が重大でなければ、他人からなんと言われようとも大したことはありません。前に進む「活動」を続けましょう。

(浪江一公)