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『価値づくり』の研究開発マネジメント 第273回

普通の組織をイノベーティブにする処方箋(120): KETICモデル-思考(62)
「発想のフレームワーク(5):シュンペーターのモデル?」

(2022年1月24日)

 

セミナー情報

 

前回までに「整理するフレームワークで整理・構造化した知識の中で焦点を当てる重要部分を切り取る」を議論しました。今回からは、「発想のフレームワークを使ってイノベーティブなアイデアを発想する手順」の次のステップで、かつ最後のステップである「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」について議論していきたいと思います。

●切り取った知識の重要部分を「発想するフレームワーク」を使って、イノベーションを発想する

それでは、その「発想するフレームワーク」とはどのようなものなのでしょうか?

●やはりシュンペーターのモデルが基本

イノベーションを発想するフレームワークを考えるには、やはりイノベーションの研究者であるシュンペーターのイノベーションの定義として有名な、「イノベーションとは既存知識の新結合である」を基本とするのが良いと考えます。すなわち、2つもしくは2つ以上の既存の知識が新しく組み合わさり(新結合-スパーク)して、イノベーションが起こるというものです。

●シュンペーターのモデルの疑問点

しかし、ここで疑問点があります。つまり、それまで遠くに離れていた2つの既存の知識が新しく組み合わさり、「瞬時」にまさに「閃く」ようにスパークを起こし、それまで存在していなかったアイデアとしてイノベーションが起こるということがあるのかどうかということです。よくイノベーションを示した漫画にあるように、頭の電球がパットつくようなことがあるのかということです。

既存知識Aと遠くに離れた場所にある既存知識Bが、それも遠くに離れたイノベーションにどう「新結合」するかです。それぞれ遠くに離れていて「遠くに離れている」の「二乗」なので、新結合が起こる可能性は低いと言わざるをえません。もちろんイノベーションはそもそも低い頻度でしか置きないものですので、そもそもイノベーションというのはそういうものだと言えなくもありません。しかし、このメルマガで目指しているのは、「普通の組織をイノベーティブにする処方箋」ですので、それでは思考停止してしまいますので、それではいけません。

●あるべき「発想するフレームワーク」

そのため、シュンペーターのモデルを基本にしつつも、あるべき「発想するフレームワーク」を創出するには、以下のような概念を追加していく必要がありそうです。

〇シュンペーターのモデルの階層化
〇前提としてのイノベーションの予感と既存の知識のありかの予感の必要性
〇新結合の形態にも類型がある

ただし、私自身、現状の段階で、追加すべきは上の3つかどうかの確信があるはけではありませんので、今後のメルマガの中で、それぞれ考えを深めていき、修正の必要があれば、その時点で修正をしていくというステップで考えていきたいと思います。

それでは次回にも、この議論を続けていきます。

(浪江一公)