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『価値づくり』の研究開発マネジメント 第223回

普通の組織をイノベーティブにする処方箋(70): KETICモデル-思考(12)
「知識・経験を物理量で整理する(4)」

(2020年1月14日)

 

セミナー情報

 

現在収集した知識・経験をイノベーションに向けて整理するフレームワークを議論していますが、今回も前回に引き続き「知識・経験を物理量で整理する」の「整理の為に考える要素」、その中の物理量の選択についての議論をしたいと思います。

●物理量を選ぶ補助線:二字熟語

世の中には数多くの物理量がありますが、それらの中から適切な物理量を選ぶ上でヒントになる視点に、二次熟語があります。日本語には幸い二次熟語があり、その中で対局を表す二次熟語があり、それらは物理量を見つける補助線として役に立ちます。

二次熟語の中で、大小、高低、長短、軽重、強弱、多少、前後、上下、左右、表裏などは、だれでも考え、二字熟語などのフレームでなくても思い付くものですが、その他にいろいろな二次熟語があります。思い付くところを以下にあげます。

遠近、深浅、老若、男女、濃淡、凸凹、緩急、内外、貧富、着脱、東西、南北、紅白、白黒、細太、冷熱、集散、同異、粗密、主客、本末、陰陽、欧亜、勝負、天地、硬軟、愛憎、明暗、朝夕、有無、寒暖、晴雨、親子、甘辛、木石、兄弟、姉妹、昇降、昼夜、得失、彼我、自他、泣笑、官民、山谷、師弟、心技、生死、加減、禍福、栄枯、盛衰、動静、固液、虚実、内外、伸縮、苦楽、公私、雌雄、主従、新旧、清濁、出入、正邪、美醜、干満、難易、和洋、開閉、後先、貴賤、難易、吉凶、喜怒、和戦、正誤、象具、起臥、文理、賞罰、開閉、攻守、躁鬱、今昔、厚薄、古今、終始、善悪、単複、賛否、正逆、長幼、取捨、暑寒、真偽、真贋、進退、君臣、信疑、貸借、直環、商工、気水、死活、将卒、乾湿、人馬など。

二字熟語があれば四字熟語も可能性があるのですが、四字となると対立概念にはなりにくいため、中には物理量の選択にヒントになるものもありますが(鶏口牛後、東西南北、栄枯盛衰など)、二字熟語程は数は多くないようです。

●新たな二次熟語を創作する

これら以外にも、現実には二次熟語としては存在しないのですが、あってもよさそうなもので、自分で容易に創作できるものもあります。例えば、鋭鈍、賢愚、広狭、直曲、心縁、悪良、油水、薬毒、乱静、角丸、嫌好などが思い付きます。

●二次熟語の意味を広く捉えてみる

例えば上の一番最後に挙げた「嫌好」ですが、細菌には嫌気性細菌と好気性細菌があります。嫌気性細菌とは、生育に酸素を必要としない細菌で、好気性細菌とは逆に酸素を必要とする細菌です。「嫌好」は基本的に人間が主語となって使う言葉ですが、他の動植物(更には他の物質や環境)にも適用できるということです。現実に嫌気性細菌と好気性細菌の発見に「嫌好」という二次熟語が役に立ったかどうかは分かりませんが、このようなキーワードはイノベーションに結び付く物理量を考える上でおおいに役に立つのではないでしょうか?

したがって、もとの意味だけではなく、その二次熟語の意味を広く捉えてみることが、大変重要と思います。

●二次熟語をどう利用するか?

すぐにはイノベーションに結び付くとは限らず、常に物理量を考える場は多くはありませんので、迂遠に思えるかもしれませんが、この様な二次熟語(四字熟語)を常に考えてリストにしてみる。またそのリストを時々眺めてみる、そしてその際上でも議論したように広く考えてみるということは意味があることと思います。

(浪江一公)